いやな感じの正体・・・東大石川健治教授の「投稿」。

昨日の朝日新聞に、「いやな感じの正体」と題する「投稿」記事が載っている。書き手は東大の憲法学の教授の石川健治という人だ。
最近はやりの「○○の正体」という見出しに惹かれ、真面目に読んだ。
中身は、憲法学者としての、正にいま強行されんとする集団的自衛権解釈改憲閣議決定への批判である。
文中に聞きなれない語句が二つあった。「他事考慮」と「レファレンダム」である。
しょうがないのでとりあえずネットで意味を求めた。前者については、「裁量判断において、本来考慮しなければならないことを考慮せずあるいはことさら無視し、またはその逆に、本来考慮すべきでないもの考慮しあるいは過重に評価すること」らしい。後者は、「憲法の改正,法律の制定,重要案件の議決などについて,立法機関の議決をもって最終決定とせず,有権者の投票によって最終決定とする国民投票ないし住民投票の制度」とのこと。
・・・なるほど。
ということは二つとも法律用語ということだ。でもって、ん十年前に法学徒であった自分が初耳ということは、その間にメジャーになった用語なのか不真面目な法学徒が知らなかっただけなのか、ま、多分後者だろう。
ところで論旨自体だが、格調が高くかなり高度な内容である。多分そこそこの知的レベルの読者か現在法律や政治学を教える人達かそれを学ぶ学生、といった層しか理解できないのではないか?
となると、石川健治という気鋭の憲法学者は、一体誰をこの投稿文の読者として想定していたのか?という疑問が生じる。
発行部数数百万部らしい大新聞に投稿するということは、本来、極力多数の人に自分の主張を理解して欲しい、という動機がある筈である。
ところが内容といい論の進め方といい、他の文科系の学者や学徒を頭に描いている印象を受ける「投稿」になっているわけだ。
むかし会社の偉い人が常々言っていた。「難しいことはわかり易く わかり易いことは丁寧に」と。
・・・ということで、論旨には同意できる部分は多いのであるが、投稿する方もそれを掲載する方も、会社員的にはもう少し「効果」を考えたら?と言いたいのである。